
何も無い青海省の郊外を行くと、両隣が山に囲まれた景色が延々と続く。新たに整備された幹線道路を走っていると、唐突に金色の仏像が山間に現れた。寄り道をして寺に上がる。成功したチベット人からの寄進で立った新しい寺院だった。強い紫外線を受けた金色の仏は、ぎらぎらした光を群青の空に反射する。巨大仏の周りを老婆が時計回りの方向に回りながら、正面では五体投地をしていた。

青海湖にはかつて兵器の実験場があった。今でも魚雷発射実験場の施設は錆びたまま、湖の中に残っている。2月には湖畔から見渡す限りの氷が張っていて、氷の上を歩くことができる。ただし実験場のすぐ近くでは氷が割れるから近づかないように注意された。氷の上を物売りの少年たちが追いかけてくる。いくらせっついても氷上での買い物に同意しないと、最後に少年は「今度くる時には、日本から嫁を連れてきてくれ。15才から20才の間が、いい」とせがんだ。その少年は15才だった。


青海湖付近・幹線道路の路肩でチベット族の三人組に出会う。オートバイ2台に分乗していた彼らの中に一人、ギターを抱えている男がいた。他の二人がカメラを恥ずかしがって道路の反対側にうずくまって座り込む間、男はチューニングがランダマイズされたギターをつまびくため、落ちていたたばこの箱をちぎり、紙片をピック代わりに演奏を始めた。